2023-03-26 春ひとつ 隣の隣に並ぶ 店先に大サービスの赤い文字 横目に自動扉と書かれたボタンを押す 店内の黄色い光が時間を失わせる 目当ての牛乳をかごへ 卵は値上がり、ブロッコリーは値下がり 自然の摂理を考える バナナをみながら、 冷蔵庫の中身を思い出す 柑橘系がひしめくそれに バナナは不要 今日着てきた服は 彼の前では着たことがない 青地に赤白のストライプ 霞んだピンクのバレエシューズ 背筋を伸ばす 入り口の赤色の春をひとつ、手にとる 彼のいない部屋へ連れて帰る