詩を読む
先日、「岸田衿子詩集 たいせつな一日(水内喜久雄 選・著/理論社)」を読んだ。そのうちの一つが気に入った。
草が枯れるのは
草が枯れるのは
大地に別れたのではなく
めぐる季節に やさしかっただけ
つぎの季節とむすばれただけ
詩は世界観を表す一方で、優しく私たちに解釈をゆだねてくれる。
後半の「~だけ」の言い切りは、単調な物言いだが、この詩に関しては優しい。
友人がなぐさめてくれる時の言い方に似ている。
悲しみに暮れているとき、視野は狭くなる。
けれど、その事柄に対して別の見方があるんだということは、悲しみを繰り返すうちにわかったことだ。わかってはいるが、切ない。深い悲しみに、取りつかれる。
そんな時に、この詩はただ慰めるではなく、事実を持って優しく寄り添う。
詩とは、どこまでも優しいのだと、改めて気づかされた一篇だった。