きいろいちゅーりっぷ

日々の細々を書きます。

【書籍】「おとな小学生」と「おしまいのデート」を読んで

今年の目標として自分のための本を月に2冊は読む、と決めている。

「自分のための」というのは仕事柄、本を読む機会は多く、おそらく30冊くらいは目を通している(読んでいるとは言わないか……)ので、それを抜いて趣味としての読書をしようという意味だ。

1月は持ち合わせていた西加奈子さんの「きりこについて」と角田光代さんの「さがしもの」を再読。感想は気が向いたら、別の機会に。

 

今回は、今月読んだ軽めの2冊。

まずは益田ミリさんの「おとな小学生」(ポプラ社)。幼い頃の思い出とともに、現れる懐かしい絵本たち。名前を付けるにはもったいないくらい、取りこぼれた小さな気持ちをそっと思いだせてくれる、エッセイだ。

益田ミリさんは、大好きな作家さんで、レジ横の駄菓子を買うくらいの手軽さで、ついつい買ってしまう。というのも、肩の力を抜いた絵が魅力的なのだ。寝る前の数ページだけで、読み手をほっとさせてくれる、そんな絵。「文章で説明できる気がしないので」といって絵を添えてしまうのなんかも、ちょっとおもしろい。

「おとな小学生」も、寝る前に少しずつ読んだ。

けしごむのかすで作る自分だけのけしごむの話や、小さい頃、食わず嫌いで読まなかった絵本を大人になってから読んでみる話など、だれかにわざわざ話すでもないけれど、だれもが心の中に大切にしまっている物語を、ミリさんに共感したり、教えてもらったり、笑わせられながら読み進めた。読み終わるのがもったいないという気持ちで、ちょっとずつ。

印象深いのは、「誕生日のプレゼント」という話。小さい時に読んだ絵本を求め、結局チェコまで行ってしまうプチ旅行記となる話だった。思い出の絵本と再会できたとき、こちらまでじんわりしてしまった。わたしにとってのそんな絵本といえば、ガムテープではり継いだディズニー名作絵本「シンデレラ」だ。アニメーションの絵をそのまま抜粋しているので、純粋な絵本といえるかどうかは微妙なところだが、大好きだった。兄弟3人お気に入りのディズニーのお話があって、姉は「不思議の国のアリス」、弟は「いなかのねずみ」。順番で毎晩、母にせがんで読んでもらった。この3冊ばかりでたまったもんじゃなかったろうに、根気強く読んでくれた。姉に至っては、もはや暗記していたので、一緒に朗読会みたいなことになっていた(読み聞かせる意味はあるのか)。

でも、このディズニーのお話にはたくさんの思い出が詰まっている。シンデレラに憧れ、青いドレスに変身するシーンはいつでもうっとりできたし、いじわるな継母たちにも優しく接する美しさも、小さいながらに感じ取ってはいたけれど、それよりも布団をしいて4人でうつぶせで、その絵を眺めた光景だったり、やぶれてボロボロになった様子がまるでシンデレラみたいと密かに思っていたことだったりが強く記憶に残っている。「シンデレラ」は、家族で過ごした温かな時間と幼い自分を思い出させてくれる絵本だった。幼い時の記憶は、私をつくる原点でもあり、再確認させてくれる存在でもある。

「おとな小学生」はタイトル通り、自分のなかにいる小学生とお話しできる機会をくれた。

 

次に、というより、同時進行で読んだのは瀬尾まいこさんの「おしまいのデート」(集英社)。この季節にぴったりのさまざまな2人の登場人物の「別れ」を描いた短編集。ハードカバーの表紙イラストは天丼。その天丼がでてくる「ランクアップ丼」が一番すきだった。2人で毎月食べた玉子丼が、ついに天丼に「ランクアップ」されることがなかったのは、主人公が恩師の存在の大きさに気付く気持ちを表現している。

瀬尾まいこさんの書く人物ってその辺にいそうなのに、ドラマになるんだよなぁ。

あと、なんとなく音読して、母と聞かせてみようと思い、犬が好きなので「ドッグシェア」と、幼稚園生が出てきてイメージしやすいだろう「デートまでの道のり」を選び、読み聞かせ。母は飽きてきてすぐBGM化してたけど、ふとしたときに、「え!連れて帰ってあげないの??」とか「あ~もうその子、気がついてるんだ」とテレビ視聴者のように感想を漏らしていたので、おもしろかった。ふだん本を読まない母も、楽しめたので、あまり読まない方に勧めやすいかもしれないと母を実験台に確認できた。

 

読んだものや観たものもちょいちょい、書き留めていこうと思う。

文体がまだ定着していないが、自分が読むだけなので、このままばらばらな感じで行きます。